退去立ち合いとガイドラインの関係?
退去立ち合いとは、賃貸物件を退去する際に、大家さんもしくは管理会社(代行業者)が一緒に、室内の汚損・破損などを確認をする事です。
壁や床の傷は最初からあったものか、入居後つけてしまったものかを明確にして、修繕費用の割合を決めて清算します。
この退去立ち合いで、金銭的なトラブルが多く発生していた為に、2000年にガイドラインが公表されました。
ガイドライン知っていれば、退去清算時のトラブルを未然に防ぐことが出来るので、賃貸する側は必ず押さえておきましょう。
この記事を読んでわかる事

・ガイドラインの要点がわかる!
・退去時の負担割合がわかる!
・契約時に注意すべき事がわかる!
・トラブルなく修繕費を確保する方法がわかる!
ガイドラインを理解するための基本事項
ガイドラインの内容を理解してもらう前に、知っておいてほしい基本的な用語(考え方)を解説します。
減価償却とは
事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産といいます。他方、土地や骨とう品などのように時の経過により価値が減少しない資産は、減価償却資産ではありません。
引用の通り、経過年数に応じて、物の価値は減少していくという考え方が、「減価償却」です。
例えば、内装である賃貸物件のクロスは6年間かけて減価償却されていき、6年後にはクロス自体の価値が1円になります。
その他、減価償却が適応されるものとして、「畳」「カーペット」「クッションフロア」などがあります。
ですが「フローリング」は経年劣化が考慮されません。
原状回復義務とは
原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。
経年劣化による自然損耗は原状回復に含みません。『経年劣化による損耗の修繕費は家賃に含まれている』という考え方です。
ただし、入居者の過失でできた汚れや傷(タバコのヤニやきっかき傷)、変更を加えた個所(棚を付けたりなど)は修繕して、貸主に返さなければいけません。
善管注意義務とは
善管注意義務とは、『善良な管理者としての注意義務』の略です。
分かりやすく言えば、部屋を使用するにあたって、大切に扱いましょう!という意味合いです。
善管注意義務について理解してもらう為に例を出すと、
『雨漏りが発生した場合は、速やかに管理会社に報告する』→善管注意義務を全うしている。
『雨漏りが発生したが、管理会社に報告せず放置する』→善管注意義務違反。
となります。よくある事例としては、室内の結露によるカビがあります。
善管注意義務違反による現状回復費用は、保証金や敷金の中から負担しなければいけません。修繕にかかる費用が預け入れた金額よりも多い場合は、追加で徴収します。
退去に伴う借主の負担対象
退去時に原状回復として、入居者が負担しなければいけないのは
- 入居者の故意・過失で発生した傷や汚れ、損傷。
- 善管注意義務違反による、建物の価値の減少。
- 通常の使用を超える、損耗や毀損(消耗や壊す事)
この3つです。ほとんどの場合、契約書に記載されていると思います。
契約内容によって特約が設けられている場合も
通常の契約では、原状回復として上記の事例を入居者が預け入れた保証金・敷金から差し引かれます。
ですが契約書に『特約事項』が設けられている場合はそれ以外にも、入居者が負担しなけらばいけない事もあります。『特約事項』とは
通常の賃貸契約の他に、当事者間で取り決める特別の条件や契約条項。追加項目のこと。重要事項説明で宅建主任者により事前に説明をします。引用:いえらぶ物件検索
例えば、
『退去に伴う室内清掃費として〇〇〇〇〇円を保証金から差し引く』
『保証金は100%償却とする(保証金の返還はありません)』
など記載がある場合には、「契約書の内容よりも特約事項が優先されます。」
まとめ
ガイドラインに記載されている内容を、わかりやすく解説しました。
この内容を覚えておけば、入退去時のトラブルを未然に回避することができます。
また賃貸人や管理会社は、特約を上手に使って修繕費の確保ができるとも言い換えられます。
昨今の不動経営では、修繕費をどう確保するのかで収益が大きく変わりますので、ガイドラインを熟知する事はとても大切です。
部屋を貸す前に、このガイドラインをしっかりと理解して、トラブルの無い退去立ち合いをしましょう。